&Flowersで、久しぶりにターシャ・テューダーさんのお庭を見てから、ターシャさんがどのように庭づくりを行っていたのか興味がわきました。
春になる前に、知りたいターシャさんの庭づくりの秘訣。
「ターシャの庭」(KADOKAWAメディアファクトリー, 2005)は、庭の写真満載。その美しさに見とれますが、とても口数の少ない本でした。
そこで、ターシャさんの園芸への姿勢を他の本や動画から探ってみることに。
植物に育ちやすい環境を整える
ターシャさんといえば、チューリップに水仙。
その球根を秋に植える際、土を確かめて、温度や湿り気から、その年の雪の量を予測し、球根を植える深さを変えていました。PHも測定し、球根が喜ぶように石灰を与えて酸度の調整も。
娘のベサニー・テューダーさんの「小径の向こうの家―母ターシャ・テューダーの生き方」(メディアファクトリー, 1999)に、
母は畑仕事のタイミングを月の満ち欠けで判断する人
とありました。特に、種まきの日取りは月齢によって決めていたようです。
植物が育ちやすいように環境を整える、心配りが感じられます。
辛抱強く、忍耐強く
一夜にしてできる庭なんてないのよ。見応えのある庭にするには、最低でも12年はかかります。(「ターシャ・テューダー 人生の愉しみ方」海竜社, 2021)
12年といえば、干支一回りです。
1夜とは言わないけれど、2-3年。12年は長いなと思いました。
ターシャさんは、今の人はあまりにも忍耐がない(耳が痛い!)、人生にも庭仕事にも忍耐はとても重要と説きます。それは、自らの信条としていたヘンリー・デイビッド・ソローの言葉にも良く表れていました。
自らの夢に自信をもって進み、心に描いた生き方に打ち込むのであれば、思いもよらぬ成功が待ち受けているでしょう
If one advances confidently in the direction of his dreams, and endeavors to live the life which he has imagined, he will meet with a success unexpected in common hours. -Henry David Thoreau
感動する心を持ち続ける
ターシャさんの孫のウインズローさんたちは、ターシャさんが晩年になっても子どもの眼と心を持ち続けていたと語っています。
花が咲けば、まるではじめて見るかのように喜ぶ。
葉の緑色や、表面にのった水滴を美しいと感動する。
秋にまいた球根が、春になって花を咲かせるのを心ときめかせて待つ。同時に、早く芽を出して遅霜にやられないか、シマリスに球根を食べられてしまわないかと思いをめぐらせる。辛抱することは決して退屈ではない、哲学的ですらある。
もっと知りたいターシャさんの園芸哲学。
この映画も近々見てみたいと思います。
おわりに
生き生きとした草花で彩られたターシャさんの庭。
植物への深い愛情、自然の時の流れと営みに抗わない姿勢、純粋に楽しむ心が築いた地上の楽園です。
<参考資料>NHKエンタープライズ「永遠のターシャ・テューダー」2015.8