Green Library

心の糧になる植物の本コレクション

Soil mag. 自然に生きる:新たな文化を醸成する雑誌

Soil magは、2021年に創刊された新しい雑誌。

2022年に第2号、2023年に第3号が出されている年刊誌です。

雑誌が、次々と休刊、廃刊していくなか、あえて雑誌という媒体を選んだというSoil mag.。

「自然とともに暮らす、生きる。里山ライフのカルチャーマガジン」を掲げるSoil mag.の内容は?気になる最新刊をピックアップ。

Soil mag.

Soil mag.とは?

Sustainable:持続可能な

Organic:自然体の

Innovative:革新的な

Local:自然に囲まれた地方

Soilは、上の4つの単語の頭文字から成り、暮らしを支える土の意味も込められているそうです。

巷の雑誌の多くと一線を大きく画するのは、「自然の場に生きる」がテーマになっている点。お金のにおいもしない。

Soil mag.のHPに「自然に囲まれた環境で、自分らしく生きるスタイルを見つける、そして、築いていくための具体的なアイデアを届ける新しいメディア」とありました。

最新刊の特集:「採集」のある暮らし

「海の民のとれたて食材」、「蜂の子ごはんが根ざす土地」、「禁断の木の実」、「図説-採集できる、美味キノコ」など、心をぐっとつかまれるタイトルと写真が並びます。

なかでも一番驚いたのが、「美味キノコ」に載っていた30㎏以上あるという「ニオウシメジ」。千葉で発見されたそうです。

隣にしゃがんでいる女性の肩の高さぐらいまである大きなシメジ。

写真だけでもこれだけワクワクするのだから、実物を山で見つけたら!どんなにか楽しいことでしょう。

「野生食材ハンターたちの想い出レシピ」も面白い。熊肉のエスニック餃子に、天然山わさび丼など。自分で採ってきたからこその味わい、喜びが伝わってきてうれしくなりました。他の記事で読んだ、海水でゆでたジャガイモは美味しい。も心に刻まれました。今度試してみなくては!

Soil mag.には里山ライフ実践者の人たちがたくさん登場しますが、笑顔が多いのが印象的です。

未来への視点対談

特集に次いで目を引いたのが、斎藤幸平さんと、四角大輔さんの対談。

斎藤さんは、脱生長を掲げる経済思想家。マルクスの新解釈による経済書ながら50万部を売り上げた『人新世の「資本論」』の著者です。

四角さんは、森の生活者。音楽業界でプロデューサーとして成功をおさめたあと、ニュージーランドに移住。コト・モノを手放して、楽に身軽に生きるための指南書『超ミニマル主義』はベストセラーに。

どうすれば都会の生活で苦しんでいる人たちに新しい豊かさとか、脱成長という概念を伝えていけばいいのかを、いつも自分の中で模索しているんです。(斎藤さん)

貨幣価値を生まない活動こそが幸福の根源で、その時間を多く持つことが人生を豊かにすると考えています。(四角さん)

お二人の対談は、Soil mag.に続いて、最近Forbesにも掲載されました。雑誌のカラーがどの程度対談に反映されるものなのか、読み比べてみたいところです。

おわりに

今までにない雑誌。けれど、何かに似ている気がしました。

「暮らしの手帖」です。

両方とも、時代の大きな転換期に、堅実で本質的な豊かさにつながる情報を提供するために創刊されました。創刊者が個人ユニットというのも共通点で、一般の人々が暮らしを、そして自分を大切にしていけるよう、忖度なく作られています。

Soil mag.、次号の特集が楽しみです!